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第137回「Pの軽重」 藤島 大

  ここに悪人はいない。では、どうすればよいのか。
  たとえばトップリーグ兼日本選手権のセミファイナル、サントリーサンゴリアスは、延長サドンデス(先に得点した側の勝ち)をPGで制した。あの反則発生時、ヤマハ発動機ジュビロの7番、クワッガ・スミスが、ピンチにも焦らず、ターンオーバーを狙った。カチッ。そんな音がしそうだった。からんだ。奪った。笛が鳴る。ノットリリース?いやホールディング。紙一重で決勝進出の明暗は決した。

  全国大学選手権準々決勝。慶應は早稲田を19−15でリード。あと終了まで20秒。中盤での自軍投入スクラム。当たる。落ちる。組み直す。もういっぺん。また落ちる。レフェリーの唇の金属音。黒黄のジャージィのペナルティー。現象として右プロップの膝が早く芝についた。そこからタッチキック、ラインアウト、赤黒は劇的な逆転トライにつなげた。

  そこまで総じてスクラム戦は慶応優勢にも映った。反則は酷とも思えた。「どちらかといえば押していた側が落とさないだろう」は中立の観客や視聴者の人情である。ただ本稿筆者はテレビ中継の解説席にいたので、レフェリーの声をマイク越しにくっきり聴ける。前半からアシスタントレフェリーに、自分の立っていない側の出来事、反則の有無をよく伝えてくれるよう声をかけてきた。また、あの場面、ヒットの瞬間は早稲田も後退していない。左プロップはむしろ、瞬間的には、少しだけ前へ出た。もちろん、そこから慶應が押しに転ずる可能性はあった。

  レフェリーは、スクラムをルールに則って組んでもらいたいという意味において一貫性や公正さを保っていた。誠実だった。もとより、どちらをどうしようなんて気があるはずもない。さらに早稲田の当たりも実は悪くなかった。しかし。試合中に大きく押すこともあった側、この場合は慶応が、勝負の土壇場で、ひとつの事象によって、ノックアウト戦の勝利を失うのは、割に合わない気がした。対抗戦の慶明戦では、スクラムは有利の明治が終了直前の中央線上で「故意に回した」反則。深いタッチキック、ラインアウト、スクラムの流れで、終了まで5分のところの逆転トライは生まれた。ヤマハの最後のシーンもしかりである。

  繰り返す。悪人はいない。競技ルールのせいだ。あまりにも反則が結果へおよぼす影響が大きい。ことにチームごとの体格差があり、海外からのパワフルな留学生を擁するチームとそうでないチームもしばしばぶつかる学生ラグビーでは、反則すなわち失トライという例はままある。他方、トップ級のラグビー、インターナショナルのレベルには、有力な長距離キッカーがひしめくため、やはり、フィールドの広い部分で、ぎりぎりの反則の解釈や適用が得失点に結ばれる。

  ひとつの案が浮かぶ。ペナルティーを得たあとのタッチキック後のラインアウトの投入権を昔のように、蹴り出された側に戻す。早慶対決の場合、慶応投入とする。これで花園の高校ラグビーもずいぶんおもしろくなる気がする。もうひとつ、一時、検討されたように、ラックで手を用いてよいとしてしまう。オフサイドやいわゆる倒れ込みはペナルティーのままとして、正当な角度で立っていれば腕でボールを奪い合う。すっきりするのではないか。

  反則は反則なのだから重罰でよし。ペナルティーをおかしてもラインアウトが自軍投入では、意図的反則の頻発が危惧される。正論である。でも正論がゲームを息苦しくさせている。いつでも、いつまでも同じことを書くほかないのだが、ラグビーの美徳は「性善説」にある。ここは全世界のあらゆる選手とコーチの良心を信じて、もう少しだけ量刑を軽くしてはどうだろうか。

■筆者「藤島大」の略歴■スポーツライター。1961年、東京生まれ。都立秋川高校、早稲田大学でラグビー部に所属。曼荼羅クラブでもプレー。ポジションはFB。都立国立高校、早稲田大学でコーチも務めた。スポーツニッポン新聞社を経て、92年に独立。第1回からラグビーのW杯をすべて取材。著書に『ラグビー特別便』(スキージャーナル)、『ラグビーの世紀』(洋泉社)、『知と熱』『熱狂のアルカディア』(文藝春秋)、『スポーツ発熱地図』(ポプラ社)、『ラグビー大魂』(ベースボール・マガジン)、『キャンパスの匂い』(論創社)など。東京新聞(中日新聞)火曜夕刊にコラム連載中。
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